DIYをやっていて壁にネジが入っていかないとき、主な原因は2通りほどありますので、ざっくりと解説していきます。(空回りして入っていかないケースは以下の記事で解説しています)
結論から言えば、壁を支えている下地が「LGS(軽天)」か「コンクリート」のケース。
この場合は、下地が木の場合と違って硬いためネジが簡単には入っていきません。
ですが、正しい手順で正しい道具と資材を使えば対応可能です。
この記事ではDIYで壁の中の下地にネジが刺さらないケースに対して
- 壁の中の下地が木なのかLGS(軽天)なのかの判別方法
- LGSの場合とコンクリートの場合の対処法
といった感じで解説していこうと思います。
なお、職人さんのあいだでの呼び方や商品名ではネジをビスと呼ぶことが多いため、記事内で両方使ってますが同じものと思ってください。一概には言えませんが、職人さんの間では先が尖っているものをビス、平らなものをネジと分けているパターンが多めです。
下地がLGS(軽天)になっている場合
壁の中の下地は一般的には木のイメージですが、LGSと呼ばれる金属製の柱を使っていることもあります。木より硬いため、通常のネジでは入っていきません。よほどの力がなければ、刺さることすらないでしょう。
何度も経験している専門の職人さんならまだしも、趣味のDIYでやっている人だと「こんなに硬いの?」と不安になってくるほどの硬さですからね。
そんなLGSの下地ですが、壁を壊さずに見分ける方法があるのでざっくり紹介していきます。
ネジが入らない原因のLGSってどんなもの?
鉄骨よりはとても小さく軽い鉄製の材料で、建物の重要でない部分の柱や梁として使う建材です。
LGSで組んであった壁を解体するとこんな感じ。この写真の天井と柱部分に走っている金属ですね。
木造家屋ではあまり多くありませんが、主にコンクリート造の建物に使われています。のちのち間取りを変えることが良くある商業施設の店舗ではおなじみの建材です。
厳密に言えばLGSは材料の種類のことですし、軽天は組んだもののことを指すのですが、一般的なリフォーム業者や職人さんはこれを指してLGS、軽天、軽鉄と呼んでいます。建築の世界ではよくあるパターンですね。昔ながらの職人さんの用語は口伝なので割と適当です。
壁を壊さずに壁の中の下地がLGS(軽天)か見分ける方法
通常の木材の下地の場所を特定するときは「石膏ボードを留めているビスを磁石で探す」という方法で柱の位置を特定しますが、同じ方法でまず柱の位置の特定が出来ます。
木の場合はクロス(壁紙)の中の壁材を固定しているネジの位置を磁石で見つけて下地である柱と間柱の位置を特定しますが、LGSの場合はLGS自体が鉄なので磁石がどこでもくっつきます。
というわけで、強めの磁石をとりあえず近づけてみて壁の中に下地の柱があると思われる場所がすべて磁石に反応すればほぼほぼLGSです。そうでなければ鉄骨か軽量鉄骨あたり。
ただし、ビスへの反応に比べると若干磁石の反応が弱いので、慣れていない人は強力な磁石を使うことをおすすめ。
それでも中が木かLGSか不安な方は、アナログ式の「下地探し」で探すこともおすすめ。私が使っているのは下の「下地探し どこ太」です。換えの針もついているので長く使えます。(持っている人でも替えの針があることに意外と気づいてないことが多いですけど)
針を壁に突き刺すと石膏ボードは簡単に抜けていきます。あとは木かLGSに当たるので、その後の感触で判別できます。硬いけどほんのちょっと刺されば木、どうやっても入っていかなければLGSです。ただし、あまりにも力を入れすぎると折れて危ないので念のため保護メガネをすると良いかもしれません。(私は1,000回以上やっていて折れたのを見たことはないですけど)
さきほどの下地探しを使った場合は、先端に磁石があるのでLGSか木かの見分けも可能です。あとメモリが付いているので下地までの距離(主にボードの厚み)も測定可能。(必要なネジの長さを計算するときに役立ちます)
力の加減が不安な場合は、余った端材を使ってあらかじめボードと木を重ねたパターンとボードと金属を重ねたパターンを試して、感触を知ってから挑むと良いでしょう。
対策はLGS(軽天)でも刺さるビスを使うこと
LGSには木用のネジではなく「軽天ビス」という種類のビスを使えば刺さります。
ホームセンターで見ても大抵「軽天ビス」と書いてありますし、店員さんに聞けばほぼ間違えることはないでしょう。楽天でも山ほど売ってます。見た目はこんな感じ。
また、「ドリルネジ」と呼ばれるタイプでも可能と言えば可能です。こちらは先っぽが明らかにネジではない不思議な形をしています。(コメリではドリルねじという名前でしたが商品によっては「ピアスビス」という名前も使われます)
さきっぽが特殊な形なので、木材に入っていく感触が違うことには注意。また、慣れていないとLGSに中々刺さらず回転し続けるため、固定しようとしている木材がちょっと焦げます。
あいだの石膏ボード(PB)は柔らかいので普通に通りますけどね。
こんな形のビスです。慣れてしまえば下穴無しで鉄板やH鋼にすら刺さります。(ちょっとコツと腕力が必要ですが)
なお、ネジを購入するときは、頭の形に注意してください。頭が膨らんでいるのが「鍋(ナベ)」で頭が平らになっているのが「皿(サラ)」です。使った時に出っ張る方は鍋です。
用途にあわせて選びましょう。
LGSにネジを止めるのは腕力か工夫が必要
ストレートに言うと電動のインパクトドライバを使っても割と腕力が必要です。DIYに慣れていて多少力に自信がある女性なんかでも、肘が開いていたりしてまっすぐに力が伝わっていないと入りません。
というか、男性の職人さんでも不慣れな人は入らなくて苦戦します。実際に何人か見てますからね。若い子が苦戦して先輩に笑われている所を。
普通にやってもダメな場合は、LGSにあたった時点でネジを丁度よい重さのハンマーで叩いて、ほんのさきっぽだけでも刺しておくとすこし楽になります。やりすぎるとLGSが潰れるので注意。
あとは金属用のキリで下穴を開けるくらいですが、下穴が大きいとあとでネジが効かなくなります。普通の木ネジのときよりも慎重にネジよりも細いキリ選んで使いましょう。(某有名紳士服チェーンの改装でLGSを組んでるときにやらかした職人さんが居て直すのに苦労しました)
LGSに止めるときは絶対に締めすぎないこと
LGSに止める際はネジの締めすぎ厳禁です。もしやってしまうと、ガタガタになります。
木材なら工夫をすればもう一度同じ場所に止めることが出来ますが、金属なのでほぼ無理です。
というわけで、締めすぎには注意しましょう。
下地がコンクリートの場合
木ネジが入っていかない上に磁石も全く反応しなければ(中にネジがある箇所は除く)、だいたいコンクリートです。
対策ですが、DIYに慣れていないなら正直に言うと諦めて別の手段を選ぶことをおすすめ。
そもそも賃貸の場合は、コンクリ部分に穴を開けることをオーナーが許可してくれるかという問題すらあります。
一応本来の手順を解説すると、コンクリートドリルで下穴を開けて、コンクリートビスで止めるのが正しい手順です。ただ、これらの電動工具をもっている人はおそらくこの記事を読んでいないでしょう。
コンクリートの場合は木材などと違うので、通常のキリを使用してインパクトドライバーで下穴を開けようとすると機械の方が壊れることもあります。一昔前のインパクトドライバーならまず壊れます。
本来はコンクリートに下穴を開ける場合は「振動ドリル」や「ハンマードリル」と呼ばれるタイプの工具を使うのが職人さんのセオリー。回転以外の力も使って開けるものです。
最近ではインパクトドライバーでもコンクリートに下穴を開けられるタイプのキリもありますが、私はあまりおすすめしていないので、ここではあえて紹介しません。やるにしてもφ6mmあたりが限度でしょうか。高価な電動工具を壊したくはないので非常手段としてしか使っていません。
あと、思ったより簡単に折れます。根本の作りが振動ドリル・ハンマードリル用とは違うので。どうしてもやるなら保護メガネもしましょう。何本も折れると心も折れます。
まとめ
というわけで、壁にネジが刺さらない場合は中がLGSかコンクリートの場合が多いということとその場合の対処方法でした。コンクリートの方はあまり対処してませんけど。
LGSに軽天ビスを使う場合は、「本当に大丈夫なの!?」と思うくらい力が要るので、不安なら一度どこかのホームセンターでLGSを少し買って実際に試して感触を確かめてみると良いかもしれません。1m換算だと300円もしませんしね。
そんなことをしなくても下穴を開ければ間違いないですけど、一応下穴が不要なビスとして設計されてるものですからね、軽天ビス。
コンクリートの場合は本当に穴を開けて良いのか確認することを忘れずに。損害賠償まで発展してからでは遅いので必ず確認しましょう。