
壁の中の下地は、探し方を知っていれば磁石で見つけることが出来ます。
という内容は既に多くの方がネットに書かれていていまさらかもしれませんが、その後の注意点について書いていないところが多かったので、本記事ではその辺りを解説していきます。
結論だけ先に一度書いておきます。
下地を見つけたら必ず下地までの距離も確認しましょう。
下地を見つけるのは単なる通過点であって、本来の目的はその先にあるはずです。その目的が果たせるかまで考えなければいけませんから。
下地探しの基本:壁の中の下地に磁石が反応する理由
みなさんご存知でしょうが、ねんのために最初はこのお話から。
一般に壁と呼ばれているのは、石膏ボードと呼ばれる板状の部材でつくられた壁にクロスが貼られたものがほとんど。
この石膏ボードや中の木下地は磁石に反応しません。
しかし、石膏ボードを柱や間柱といった下地に固定するためにネジ(業者の方はビスと呼びます)が使われています。
磁石を使って石膏ボードを固定しているネジを見つければ、その向こうには柱や下地材があるというわけですね。
磁石が1つくっついたら上下にも何個かくっつけてみて、縦に1列並べば確実性が増します。
これが磁石で下地を探せる理由です。
下地の効率的な探し方(下地が良くあるポイント)
実際に壁に磁石を当ててみるといくつか磁石がくっつく場所を見つけられると思いますが、やってみると意外と大変です。ピッタリ合わないと反応しないので、壁一面をやるだけでも大変。
最初のうちはちょっと楽しいかもしれませんが、続けているうちにだんだんと面倒になってきます。2部屋目や3部屋目になってくるとかなり。
ですが、慣れてしまえば磁石を当てる前から大体の位置がわかります。というわけで、下地が入っていそうなポイントをいくつか紹介して置きます。
効率よく下地を探すためのキーワード
- 出隅
- 303mm/455mm/910mm
- 何かがある場所
磁石で下地を探すならまずは出隅を狙えばOK
いきなり出隅と言われてもピンと来ないかも知れませんが、一言でいうなら出っ張った角です。廊下の曲がり角部分などがこれですね。(逆に部屋の四隅などの凹んだ角は入隅と呼びます)
最初はこの出隅を狙ってみましょう。ボードを固定するとき、普通は外縁部を固定するので、出っ張っている角の部分を狙えばよほど特殊な事情が無い限り柱があります。空中に石膏ボードは固定できませんからね。
※角ギリギリだと割れたりする恐れが有るので、少しだけ内側に。合わせになっている横のボードの厚みも考慮すること。
ただの下地材(間柱)より大きい柱ですから、求めている下地としての役割も当然果たします。柱が強固でなかったら壁が倒れますから。
磁石で下地を一本見つけたら303mmか455mmずつ追ってみる
最近ではメーターモジュールと呼ばれる1mを基準とした家もありますが、通常は910mmを基準として作られています。
そのため、下地材も入っている場所がだいたい決まっています。
455mmか303mmずつ横にずらしてあるのがセオリー。一見するとキリが悪い数字に見えますが、これはさきほどの910mmと同じで日本の長さの単位が基準になっているからです。
303mmは一尺、455mmは一尺五寸(1は飛ばしてシャクゴスンと読むと通っぽくなります)
910mmは本来は909mmですがだいたい3尺。
というわけで、まずは一本見つけたら横に455mmずらしてみて、なかったら303mmの地点を狙ってみると高確率で当てることができます。
職人さんが使うスケールにはmmと尺寸が両方出ているものがあるので、持っておくと便利です。
据え付けの設備を目安に下地を狙ってみる
壁の中に埋め込むタイプの棚や、壁に直接取り付けられた家具がある場合はその左右どちらかを狙ってみましょう。
壁に埋め込むタイプの収納棚の場合、壁の中に四角く枠を作ってはめ込むことが多いですが、何もないところに配置するよりも柱や下地材(間柱)に寄せて抱かせてしまったほうが安定します。
なので、その左右どちらかには柱や下地材が入っていることが多いという理由です。
そもそも枠を作らずにそのまま横から柱に固定するだけで済ますような簡易的なものもたまにありますし。
磁石で下地を探しただけでは不十分!大事なのは壁材の厚み
個人のDIYブログを拝見しているとここまでの内容で終わってしまうところが多いのですが、この時点では下地の場所を見つけてもまだ終わりではありません。
壁の中の下地を磁石で探すという行為自体が目的ではないはずです。その下地になにかを固定するのが本来の目的でしょう。
というわけで、この後に注意しなければいけないことがいくつかあります。
磁石がくっついても下地があるとは限らない
今から書く内容は、実際に家の壁を作っている職人さんの話です。
従来は、石膏ボードをビスで固定するときに電動のドライバー(厳密にはちょっと違う道具ですが)で固定していました。
その場合、奥に下地がなければ空回りしてしまってビスの頭が出てしまうので、すぐに下地がない部分だと気付けました。
ですが、最近はボードビスですら空気圧でねじ込むタイプの釘打機のような機械を使うようになりました。大きな銃みたいな形の機械で引き金を引くだけでボードビスが入っていきます。
これが曲者で、空気圧でねじ込んでいく仕組みのため、ちょっと強めに設定してあると下地がなくても入って行ってしまいます。圧力の設定が完璧なら下地がなければ浮くのですが、面倒だからと強めにしている人もまだまだ居ます。(あまりにも強すぎれば貫通してくれるのでそれはそれで気付くんですけどね)
というわけで、この機械を使って勢いよくやっていると下地がない場所にうっかりボードビスを打ってしまうこともありえます。
1秒間に3本くらい打つ方もいるので気付いたときにはだいたい1列終わってますし、終わってても気づかないこともあります。
ここで発生する問題が次。
「下地がないところにうっかり打ってしまったビスにも磁石は反応する」ということ。
以前ならビスを締めている最中に、締めている最中の手応えの違いやビスの頭の見た目で下地がない部分にビスを打ってしまったことがわかりましたが、引き金を引けば一瞬で打ち込まれる現代では意外と気付かず放置されます。
これを信用して「下地がある!」と思っていると大変なことになるわけですね。完全に罠です。
そのため、磁石が縦に何個もくっついているのに下地がないというケースが発生します。当然、これから取り付けるものに必要な強度は得られません。
下地の厚みがわからなければ重大な事故につながる恐れがある
防音効果を狙って石膏ボードを二重貼りしているパターンや、過去にDIYでリフォームをして既存の壁にボードをさらに重ねて貼ったパターンもあります。
最近だと既存の壁の内側に、さらに断熱材と石膏ボードが組み合わさったものを貼り付けるお手軽断熱リフォームなんてものもあります。
この場合は壁の表面から下地までの厚みが増えているので、最初に予定していた(付属品の)ネジでは下地に固定するのに長さが不十分となっているかもしれません。
特に電動ドライバーやインパクトドライバーに慣れていない人では「いまネジが下地に入り始めたあたりかな」というのが感覚でわからないので、下地に何mm入ったか判断できません。
本来なら十分なはずの長さのネジでも、石膏ボードが二重になっていた分で12.5mm(石膏ボード1枚分)ほど浅くなってしまったら、その分だけ固定する力が弱くなってしまいます。
下手するとネジのさきっぽ数mmしか、下地に入っていないなんてことも起こるわけですね。
これでは壁に固定するネジとしての役割をほとんど果たしていません。
壁の中の下地を見つけたら、必ず深さも調べること!
というわけで、下地の位置が分かっただけでは不十分です。必ず下地までの距離を測りましょう。
下地を探すことが本来の目的だったわけではありませんよね。
「目当てのものを下地に固定する」という目的を果たすための手段として下地を探していたはずです。
ならば、きちんと確実に固定できるかまでを考えなければいけません。
原始的ですが、一番早いのは針を刺してみること。安全ピンを曲げて真っ直ぐにしてもできます。
石膏ボードはとても柔らかいので、簡単に針が入っていくと思います。
下地に当たればいきなり硬くなるので、その手応えで判断できるでしょう。
停まったところでマスキングテープを針に巻いてから抜けば、先端からマスキングテープの縁までの距離が下地までの距離です。ねんのためその部分の上や下でも試しておけば精度はさらにあがります。
まとめ
というわけで、壁の中の下地を磁石で見つけたら、必ず下地までの距離も確認しておきましょう!というお話でした。
仮に、下地が完全に無ければ手応えで気付くかも知れません。
しかし「下地は確かにあるけど距離が遠すぎてネジがちょっとだけ刺さった程度だった」なんて場合はDIY初心者では意外と気付けないものです。
それが原因で、固定した物が落ちてしまうような事故につながる恐れもあるので可能な限り避けたいところでしょう。
おまけ:今回は磁石と針で行う方法を紹介しましたが、実は両方をくっつけた道具が存在します。しかも深さが分かる目盛りつき。その名も『下地探し どこ太』です。便利なので愛用している一品。
無くても磁石と針があれば代用はできますが、あると便利なのは確か。
余談:キャップ部分を外すと中に替え芯(替え針)が入っていますが、私は5年使ってもまだ取り替えていないくらいには丈夫です。