ドライバーでネジを締めててみたのは良いものの「本当にこれで締まっているか」「締めすぎて内部を壊したりしていないか」と不安になった経験がある方も多いのではないでしょうか。中には実際に締めすぎて壊してしまった経験がある方も居るでしょう。
ですが安心してください。そんな方のために、締め付けの強さを調整できる工具があります。それが「トルクドライバー」です。
というわけで、本記事ではトルクドライバーについて簡単に解説していこうと思います。
そもそもトルクドライバーとは?
トルクドライバーは、ネジを「決められた強さ(トルク)」で正確に締められる工具です。トルクドライバーを使用すると、設定したトルクに達したら教えてくれたり、設定したトルクに到達した時点でそれ以上締められなくなったりする機能がついています。
そのため、ネジを締めすぎて壊してしまうようなトラブルを防げる工具です。これ自体で締めることもできますが、どちらかというと普通のドライバーである程度締めて、最後の仕上げにトルクドライバーで締め付けトルクを確認するようにすると長持ちします。
特に自転車や精密機器のように、取扱説明書に推奨トルクが記載されている場面では必須とも言えるDIY工具。
良く似た名前の工具にトルクレンチがありますが、トルクレンチは六角形のボルトやナットを回すもので、トルクドライバーはネジを回すものという違いがあるので注意しましょう。
また、トルクスドライバーも名前がそっくりですが、これはトルクスという形のネジを締めるための工具なので別物です。間違えやすい上になんと大手通販サイトでも出品者が間違えてます。気をつけましょう。
DIY初心者が直面しやすい失敗とトルクドライバーの役割
DIYを始めたばかりの方に多いのが「力加減が分からずに失敗する」ことです。家具の組み立てでは木材にめり込む程度で済みますが、精密機器では基板やネジ穴を壊してしまう恐れもあります。
トルクドライバーを使えば、締めすぎや緩みを防ぎ、製品本来の強度や安全性を保つことができます。特に取扱説明書に「◯Nmで締め付けてください」と書かれている場合、素人の感覚ではまず正確に再現できません。そもそもそのトルクがどれくらいなのか想像することすらできないでしょう。
というわけで、工具に頼るのが確実です。
トルクドライバーが必要になるDIYシーン
- パソコン部品や周辺機器の取り付け・修理(小ネジを締めすぎると基板や筐体が破損)
- 見た目重視の家具の組み立て(締めすぎで木材が割れるのを防ぐ)
- 電気工作や電子機器の組立(端子や基板の固定で正確なトルクが必要)
これらは初心者ほど力加減が難しい分野であり、トルクドライバーを持っているかどうかで仕上がりと安全性が大きく変わります。
トルクドライバーの選び方:初心者が押さえるべき4つのポイント
いざトルクドライバーを選ぼうと思っても、種類が多くて迷ってしまう方も多いでしょう。
というわけで、DIY初心者の方が自分に合った一本を選ぶための4つのポイントをご紹介しますので参考にしてください。
種類
トルクドライバーにはいくつか種類がありますが、初心者の方には「空転型」が最もおすすめです。
空転型は、あらかじめ使うトルク値を設定しておくと、その強さに達した瞬間に空回りをして締めなくなります。そのため、誰でも直感的に使えるのが大きなメリット。
他には、液晶画面で数値を確認できる「デジタル式」や、設定変更不可能で決められたトルクでしか締められない「堪能型」などがあります。これらは高価だったり、用途が限定的すぎたりと汎用性が低いので、まずは扱いやすい空転型から用意すると良いでしょう。
トルクの設定範囲
トルクドライバーも、それぞれ設定できるトルクの範囲が違うので注意しましょう。自分が使いたい用途でよく指定されているトルクに合わせて選ぶことがポイントです。
まずは、2Nm〜6Nmあたりをカバーできるモデルを選ぶと、幅広い用途に対応できます。
付属ビットの種類(必要な先端パーツはそろっているか)
ネジの頭にはプラス(+)やマイナス(-)、六角など様々な形があります。また、一部の精密機器にはさらに特殊な形があったりもします。
トルクドライバーの先端(ビット)を交換することで、色々なネジに対応できます。 プラスや六角など、基本的なビットが数種類セットになった製品を選ぶと、購入後すぐに様々な場面で使えて便利です。
聞いたこともないような国外のメーカーの商品を選んでしまうと、後から買い足そうとしたときにメーカー自体なくなっていたりもするので、あまりおすすめはしません。
4. 精度(DIYなら「±6%」前後が目安)
製品のスペック表には「精度±◯%」という記載があります。これは設定したトルク値に対して、どれくらいの誤差があるかを示すものです。プロ用の精密な作業でなければ、±6%前後のモデルで十分安心して使えますので、まずはその辺りを用意すると良いでしょう。
初心者におすすめのトルクドライバー
初心者がトルクドライバー選びで優先すべきポイントは「扱いやすさ」と「幅広いトルク設定」です。前述の選び方をふまえると、まずは「2〜6Nm程度をカバーするトルクドライバー」から始めると良いでしょう。
これくらいなら、家具の組み立てから、少し繊細な作業まで幅広く対応できます。2万円を超える代わりに精密に計測できる高価なデジタル式もありますが、まずは比較的安めの空転式のタイプからそろえていくのがおすすめです。
例えばこの辺りは空転式の1~6Nm対応で、1万円を切っています。
ただし、右回転専用なのでたまにある逆ネジではトルク測定できないことに注意。
まとめ:トルクドライバーは初心者こそ持つべき工具
DIY初心者にとって、トルクドライバーは「失敗を防ぐためのツール」であり「安全を守る工具」です。
特に自転車パーツや精密機器など、説明書に規定トルクが明記されている作業では欠かせません。失敗して材料を無駄にしたり、トラブルに巻き込まれるよりも、最初に正しい工具をそろえる方が結果的にコストも安く済みます。
DIYを安全に長く楽しみたいなら、ぜひトルクドライバーを導入してみてください。