ハローワークの求人で騙された?それでも罰則がない理由と対策

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ハローワークで検索しようとすると、サジェストに「騙された」「嘘だらけ」「ブラック」といった物騒なワードが並んでいます。

しかし、ハローワーク自体はきちんとした職業紹介事業です。

ただし、騙されないように利用するには、以下のことに気をつける必要があります。

  • 雇用に関する法律のせいで会社側も騙すつもりがないのに騙されてしまう人がいる
  • 求人票と違う条件で雇っても騙したことにはならない(法的にも問題なし)
  • ハローワークを悪用する会社もある

ということで、今回はその注意点を解説しつつ、対策も少し紹介していこうと思います。

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求人票特有の言い回しのせいで騙すつもりがなくても騙されることがある

実は意外と多いのが、会社側は騙すつもりがなかったのに騙されたと勘違いしてしまうパターンです。

結論から言ってしまえば、「求人票に書いてはいけない条件」が法律でたくさん決められているので「それを書かずにうまく匂わせる文言を使っている」ということですね。

これには理由がきちんとあるので、解説して行きましょう。

※「企業側の書き方を制限する話だから関係ないか」と思って読み飛ばしてはいけません。大いに関係します。理由は後述します。

雇用に関する法律があるため書けないことがたくさんある

ハローワークにかぎらず、求人票に書けないことはたくさんあります。

なぜ書けないかというと、求人の仕方は法律で制限されているから。

例えば

  • 年齢
  • 性別
  • 国籍
  • 性格
  • 通勤時間

などなど。これらを明確に指定してはいけません。(年齢などは一部特例を使って記載できますが、その場合は余計な制限がかかります)

おまけ:関係する法令は主に、労働基準法・男女雇用機会均等法・最低賃金法・雇用対策法・職業安定法など。興味がある方は詳しく調べてみても良いかも知れません。

しかし、企業だって欲しい人材は指定したいでしょう。

では企業側はどうするのか?というのが次の項目です。

求人票に書いてはいけない言葉を避けて遠回しに匂わせる

結論だけ言ってしまえば、企業は「直接は書けないからこれで察してね」という文言で求人します。

例を挙げるなら、「女性が多く活躍しています!」は「女性だけに来てほしい」ということを意味します。(極稀に本来の意味で使う会社もありますが稀です)

これを読んでいる方の中には居ないと思いますが、「女性が多い職場に入りたい!」という下心のある男性が行くとまず落ちます。この求人は女性を求めているのですから。

もう少しひねった例でいくと、「体力に自信のある人」という表記は一般的にアウトとされていますが「60kgの荷物を運べる人」なら、業務上発生する具体的な例を示して可能かどうか本人に判断させているだけなのでセーフになります。(具体例を示した上で業務に必須だと言い張れるかがポイント)

このように、求人票に書いてある文言には「裏の意味がある」というパターンが多くあります。

求人票特有の文言の読み方を知らないと、勘違いして騙されたと思ってしまう。

ここまでの説明で理解していただけているとは思いますが、念のためにもう一度書きましょう。

会社側は求人票を書くときに法の網をかいくぐってヒントを出しているのに、読む側がそれに気付かず応募してしまうと、実際に面接をしてみて「あれ?話が違うんじゃないの?」となるわけです。

困ったことに企業側も求めていない人からの応募を簡単には断れないシステムなので、絶対に受からないことが最初から決まっている面接が始まります。

受ける側からすれば「騙された!」と思うでしょうが、実は企業側も出来ればやりたくない面接なんですよね、このケース。誰も幸せになれません。地獄です。

求人票特有の言い回しについて知識をつけることが大事

確かに結果的には騙されたことにはなるのですが、自分が知識をつけた上で注意を払っていれば回避できますし、実は企業側も被害者です。お互いに。

絶対に受からない面接で無駄な時間を費やすことがないように、求人票の正しい読み方を身に着けておくことをおすすめします。

ハローワークの求人票と違う労働条件でも騙されたことにはならない

ハローワークの求人票と全く違う条件で雇っても、騙したことにはならないし、罰則もありません。

このカラクリを知らない人からすれば「そんな横暴を許すのか!」となるでしょうが、実は仕事を探している人を救済するための措置から発生しています。建前上は。

覚えておいてほしいのは、労働条件通知書の内容こそが正しい条件ということです。

求人票と労働条件通知書の内容で優先されるのは労働条件通知書

求人票は多くの人間が見られます。つまり、不特定多数の人間に提示しているものなのであくまで目安と解釈する考え方があります。

労働条件通知書は、個別に条件を出しているため、働く人に合わせて調整をした労働条件を通知していると解釈することもできます。

この考え方でいくと、「求職者全員をひとまとめにしている労働条件」と「個人に合わせて出している労働条件」のどちらを優先するべきと言えば、より細かい調整がされているはずの後者になりますよね。

というわけで、例えハローワークを通していたとしても、求人票ではなく労働条件通知書等に記載されている労働条件を確認しなければいけないわけです。

なぜ求人票と違う労働条件を出しても騙されたことにならないのか?

先に結論だけ書くと「違う条件を出すのは、仕事を探している人を救済するため」とも言えるからです。

結論だけではまず意味がわからないと思うので、説明していきましょう。

求人票と違う条件を出された人は騙されたと思うのは仕方ないですし、実際に騙すためにやっているところもないわけではありません。

しかし、「求人票に書いた条件では雇えないけど、この条件でも良いなら雇えるよ」という意味合いで出された条件なら「求職者にとっても良い提案」と解釈できるため、違法にはなりません。

少し悪い言い方になりますが、ハローワークは就職・転職をする際の最後の防波堤のようなものです。そのハローワークを利用している人は、好条件でなくても良いから働く場所を見つけたいという人が多いわけですね。

ハローワーク自体がそのような人たちの就職を目的にしているので、ハローワーク側にとっても「妥協案を出されること」にはメリットがあるため、あまり問題にはなりません。

というわけで、求人票に書かれた内容と違う条件を出されても違法ではありませんし、問題にもなりません。

後から「騙された!」と思うことがないように、必ず労働条件通知書等を確認してから判断をしましょう。

求人票と違う労働条件で違法になるケースもある

ただし、違う条件の提示が違法になるケースもあります。

  • 最初から違う条件を出すことを前提としている
  • 違う条件を提示したときに明確に説明せず、求職者が気付かないまま労働契約をした

といったパターンなら、違法になる可能性があります。

ただし、最初から違う条件を出すことを前提にしていたことを指摘する場合は、第三者が客観的に見て判断できるだけの材料を見つけなければいけません。

労働条件が違うことに気付かないまま働いてしまった場合も、「自分に大きな過失がない」ことと「違う条件だったと気付いていなかった」「最初の条件だと信じ切っていた」ということを第三者が見ても理解できる材料がないと難しくなります。

労働基準監督署に相談することはできますが、一般的にはほぼ効果がありません。(相談ではなく、どの法令に違反しているか・どの法令に基づいてどんな対処を求めるか・そのために必要な証拠の提示などをしっかりと示せば動いてくれますが、慣れていない方には中々難しいと思います)

求人票だけでなく、労働条件通知書や雇用契約書を必ず確認する

求人票に書かれたいた内容だけでなく、労働条件通知書や雇用契約書に書かれている条件をしっかりと確認しましょう。

特に「手続きは後でやるけど今人手が足りないからとりあえず明日から来て欲しい」と言われたパターンなどは、しっかりと確認をしておかないといけません。

そのパターンで後から出てきた条件が違っていた場合、法的には「最初の条件だと思っていた」と主張して裁判で勝てるケースが多いですが、証拠をきっちり集めたり手続きをしたりしないといけませんし、お金もかかります。

何より、その仕事を続けにくくなるのでまた次の就職活動をすることになってしまいます。もちろんそれが理由でクビと言われれば不当解雇でも争えますが、正直言ってトータルで考えると手間と金銭的にマイナスなのでおすすめはしません。

最初からトラブルにならないように、しっかりと対策しておくことをおすすめします。

ハローワークを悪用する会社もある

これはもうどうしようもないのですが、ここまで紹介してきた仕組みやテクニックを悪用して最初から騙そうとしてくる会社も中にはあります。

というか、ハローワークは無料で使えるサービスのため、たちの悪い会社が使いがちです。

もちろんハローワーク側もある程度の対処はしているのですが、中々手は回りませんし、何かトラブルが起きてからの通報でやっと気付くようなケースが多いのでどうしてもトラブルは置きます。

最初の1件目に自分が当たってしまえば。

また、ハローワークでも求人に関する知識をつけるためのサポートは行っていますが、「ハローワークの求人に書いてはいけない項目をうまく言い換えて書いている文言の解説」などを公的機関であるハローワークの職員がするわけにはいかないので、まず教えてもらえません。遠回しに助言してくれるケースがあるくらい。(極稀にしっかりと教えてくれる方もいるらしいですが、私は見たことがありません)

悪用してくる会社の見抜き方を自分で調べて自衛するくらいしかないのが現状です。(悪用している会社側の例を私はいくつか知っているので、そのうち別記事で書くかもしれません)

ハローワークを使わないという手もある

ハローワークでは、ハローワークの求人票のNGワードを避ける言い換えなどは教えてくれませんが、民間のサービスでそれをサポートしてくれるところはあります。

いくつかざっくりと紹介していきましょう。

転職エージェントを利用する

転職エージェントは、就職活動を総合的にサポートしてくれるサービスです。多くのところが無料。

なぜ無料かといえば、企業側から貰っている紹介料で運営しているから。

主なメリットを挙げると

  • 企業側の人事担当者と実際に相談しているので欲しい人材が明確
  • 多くの転職エージェントは無料で利用できる
  • 一般公開されていない非公開の求人を多く抱えている
  • 面接対策などの就職支援も行っているところが多い
  • 履歴書・職務経歴書の添削や書き方のアドバイスも行っている

といったところでしょうか。

この他にも、転職エージェントは企業とも密接に関わっているので、日程調整や条件交渉を代行してくれたりするところも多くあります。

先ほど軽く書きましたが、企業側からお金を貰っているということが実は大きなメリットです。

これをちょっとひねくれた読み方をすると「まともな人材を集めるためにはお金がかかる」ということを理解していて「そのためにお金を出す気もあるし、出せるお金もある」という会社しかないということです。

少し悪い言い方になりますが、無料で出せる求人とお金を出している求人を比べたら、後者の方が良い会社の可能性が高いことはお分かりでしょう。

人に対してお金を出す必要性を理解しているのですから。

というわけで、転職エージェントを使えば専門家のサポートを受けながら、「良い人材を集めるためにはお金を払う」という会社の求人を探すことができます。

以前にこのブログでも「特化型の転職エージェント」をちょろっと紹介していたります。「こんな感じの転職エージェントもあるのか」という発見ができるかもしれません。

求人サイト・求人アプリを利用する

先ほど紹介した転職エージェントとは違い、担当者がついたりすることはないですし、サポートもあまりありません。

しかし、お金を払って求人を掲載するタイプの求人サイト・求人アプリに載っている求人なら「優秀な人材を集めるためにはお金が必要」ということを理解していて、実際にお金を出している会社ということはわかります。

また、求人を出すためにお金を払っているため、当然ながら採用に関しては積極的です。

人事側になったことがない人は知らなくて当然かもしれませんが、中途採用で1人採用するのにかかる費用は50人までの会社なら1人辺り100万円程度、200人くらいの会社になると200~300万程度を見込んでいたりします。(求人広告費+社内で面接や書類手続きをするのにかかるコストなど、採用するにあたってかかる費用をすべて足したものというイメージで大体OKです)

もちろん中には「お金を掛けてでも集めて、倒れるまで使い潰そう」と考えている会社もあるかもしれませんが、そのような求人もあるという評判が広まると転職サイトの運営が傾いてしまうため、ある程度の対処はしてくれています。

デメリットを挙げるとすれば、転職エージェントが持っているような良い非公開の案件がないことでしょう。

というか、求人サイトで見れてしまったら非公開とはいえませんから当然といえば当然です。

しかし、「人手は足りないけど求人広告を出すお金もない」といったちょっと危ない会社の求人を避けることは可能です。(ハローワークは無料なのでそちらにあります。大量に)

ハローワークの求人には応募したくないけど、人にあれこれ言われたくないし自分のペースで仕事を探したい!なんて方は求人サイトを見てみると良いかも知れません。手軽に見れますからね。

まとめ

まとめ

というわけで最後にもう一度軽くまとめると

  • 雇用に関する法律のせいで会社側も騙すつもりがないのに騙されてしまう人がいる
  • 求人票と違う条件で雇っても騙したことにはならない(法的にも問題なし)
  • ハローワークを悪用する会社もあるけど現状では知識をつけて自衛するしかない

というお話と、ハローワーク以外にも転職エージェントや求人サイトがあるのでそちらを検討してみてはいかがでしょうか?というお話でした。

ハローワーク関係だとこのブログでも以前こんな記事を書いていて、割りと読まれています。興味のある方はどうぞ。

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