小さい工事なのに坪単価が高くなる理由

アイキャッチ DIY/リフォーム

家を建てたりリフォームをしたりする際はいくつかの業者を比べることになると思いますが、そのときに参考になる基準の一つが坪単価。

ところが実際に見積もりを取ってみると、事前に調べていた坪単価より高くなってしまって驚くこともあると思います。

意外と忘れがちですがこの坪単価という数字、建てる家や工事の大きさでだいぶ上下します。

というわけで、その理由をざっくり説明していこうと思います。

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坪単価についてのおさらい

坪単価とは1坪(約3.3平方メートル)あたりいくら掛かるかを出した数字です。新築なら建物部分の延床面積(各階の床面積を足したもの)ですし、リフォームなら工事にかかわる部分の床面積。(※ベランダや玄関ポーチなど、床面積に含まれない部分もあるので計算するときは注意が必要です。また、会社によっては違う計算の仕方をするところもあるので注意しましょう)

単価が変わってしまっては施工面積をかけても概算ができないので、坪単価が出ている意味がないのでは?と思ってしまいますが、実際は順序が逆です。

全体の施工にかかる一般的な総額を出して、面積で割って1坪辺りにしたものが坪単価。

逆算して出したこの坪単価という数字に面積をかけて、私達は大体の金額を算出するわけですね。

なぜ工事が小さくなると坪単価は高くなるのか

結局のところ、坪単価は工事にかかる金額を面積で割ったものに過ぎません。なので、面積に対して工事にかかる金額が大きくなれば当然ながら坪単価は上がっていきます。

そして、家や工事箇所が小さければ小さいほど単価は上がりやすくなっています。

その理由は大きく分けて3つ。

使う部材の値段は変わらない

例えばキッチンのリフォームをするとしましょう。

床をすべて張り替えて新しいシステムキッチンを入れて戸棚も付けるプランで考えます。

このとき、床面積が増えると使うフロア材の量は増えますが、設置するシステムキッチンは同じ1セットのはずです。戸棚も値段は同じ。(空間が余っているので戸棚の数を増やす場合は別ですが)

そうなると床面積が大きいほうが坪単価は小さくなります。システムキッチン1セットの値段を3坪で割るのか6坪で割るのかを考えてもらえば分かると思います。大きく割ったほうが数字は小さくなりますからね。

小さいほど手間がかかる

実は工事をするとき、広ければ広いほど楽です。特にリフォームの場合。

まずは床のリフォームを例に見ていきましょう。

この床のリフォーム、張り始めと張り終いが一番難しいとされています。(私が実際に大工さんに聞いた話です)

リフォームするくらいですから建ててある程度経った家でしょうし、どうしても家に多少の歪みはでてきています。そこで、最初に全体を測ってどう張れば綺麗に収まるか墨出しをします。

何も考えずに手前から順番に張っていくと、最後が綺麗に収まらないことがほとんど。手前と奥の壁が平行になってないなんてことはリフォームではよくあることです。

また、張り始めが曲がってしまうと後が全て曲がっていってしまうので、慎重に墨出しをします。そしてズレないように張り始めの施工。

それが終わったら中間部分ですが、ここはただ張っていくだけです。両サイドは切る必要がありますが、それ以外の部分は床材を切る必要すらありません。ただただ同じように張っていくだけ。言ってしまえば、修行中の大工さんでもある程度いけます。

そして最後は張り終いの処理。ここもリフォームの場合は結構面倒なケースが多いです。

この工程をイメージしてもらえば分かると思いますが、面積が増えたとしても大きく増えるのは中間部分だけです。

確かに張り始めと張り終いも少しは増えますが、一番大きく増えるのは中間部分でしょう。適当なメモ用紙にでも小さな四角と大きな四角の図を書いてもらえればひと目でわかると思います。

床だけでなくクロス張りなどもだいたい同じようなものです。特に部材を加工せずにそのままの大きさで使っていけるような施工は手間があまりかからないもの。つなぎ目の処理が多少入るくらいです。

リフォームの場合、部屋の周囲では巾木や建具の枠などの既に取り付けてあるものに当たってしまうので加工をすることになる場合がありますが、中央部分にはそれがありません。フロアのど真ん中に何かがそびえ立ってる家なんてめったにないですからね。

というわけで、面積が広くなっても「施工の手間があまりかからない部分が増える」わけです。だから施工にかかる人件費も大きくは増えません。楽な部分は早く終わるわけですから。(リフォーム業者の若い営業さんや監督さんでも、このことを知らなかったりするケースがたまにありますけど。)

これを言い換えると「小さければ小さいほど手間のかかる部分が割合的に多い」ということになります。

そうすると、坪単価に占める職人さんの人件費は下がります。面積が倍になっても職人さんの作業時間が倍までは増えないので。

固定の経費もほとんど一緒

業者さんも商売でやっているわけなので、当然ながら会社の維持費は稼がなければ潰れてしまいます。

というわけで、その分もどこかには乗っかっているのですが、小さい工事だからといって減らない部分もあるわけです。例えば打ち合わせ担当の人が打ち合わせをするために掛かった人件費。

もしここをどうにかして減らすとしたら、打ち合わせ時間を極端に減らすとか電話だけで全てを済ませるなんてことになってしまいますから。信用もなにもあったものではありません。

部材の発注や関連業者への連絡も多少は増えるでしょうが、同じ内容の工事で面積が多少変わった程度では手間は大して変わりません。新築とリフォームなら雲泥の差ですが。

というわけで、工事が小さいほどこの部分が坪単価に占める割合も大きくなってしまいます。

坪単価はあくまで概算に使うもの

ここまで「工事が小さいほど坪単価が上がってしまう理由」を3つほど説明しましたが、細かく見ていくと他にもあったりします。

というわけで、坪単価はあくまでもおおよその金額を出すためのものとして考えると良いでしょう。

実際に工事をする側になって見ないとわからない都合も、意外とたくさんあるものです。坪単価はあくまで指標の一つとして参考にする程度で。

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